
電気のふるさとを訪ねて
私たちの生活に欠かせない電気のふるさとを訪ね、そこに伝わる伝統芸能を紹介します。今回は、玄海原子力発電所がある佐賀県です。華麗な舞いと気迫のこもった榛術が見ものの「天衝舞浮立」、勇壮な曳山行列で名高い「唐津くんち」の二つの祭りをご紹介します。




唐津くんち
(佐賀県唐津市)
佐賀県唐津市は、古代から唐・韓へ往来する港町として繁栄し、現在も歴史やロマンが息づく観光都市です。この歴史と観光の町、唐津市を代表する祭りが「唐津くんち」です。唐津市南城内にある害津神社の秋祭りで、十六世紀の末頃に始まったと伝えられ、現在の姿になってからは、じつに三百年余りの伝統を誇っています。
祭りの最大の呼びものは、氏子が奉納する「曳山行列」。高さ七メートル、重さ二トンから五トン。獅子や龍、亀と浦島太郎、兜などをかたどった十四台の勇壮華麗な曳山を、揃いの法被姿に身を固めた数百人の若者たちが「エンヤ、エンヤ」「オイサ、オイサ」の勇ましい掛け声とともに市内を威勢よく曳き回すさまは、まさに圧巻のひとことです。
祭りの一番の見どころは、神社から約一キロ離れたところにある(お旅所)への曳き込み。砂地に車輪がめりこもうとするヤマを良子たちがありったけの力をふりしぼって所定の位置へと曳き込こむと、祭りの興奮は最高のクライマックスを迎えます。

唐津っ子気質をそのまま表現したような豪快で熱気あふれる「唐津くんち」は、昭和五十五年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。観光客も年々増加し、いまでは五十万人を超える人出で賜わっています。最近では国内だけでなく、海外にも広く紹介されるようになり、注目度もますます高まっています。なお、平成八年三月にはハワイ公演を予定しています。
佐賀県線光ミニガイド
〈観光名所〉太良健康の森公園、嬉野温泉、能古見峡、虹の松原、唐津城、波戸岬海浜公園、大川内山窯元群、龍門峡など
〈お祭り〉修正会鬼祭り(太良町)、唐津くんち(唐津市)、小友祇園祭り(呼子町)、伊万里トンテントン(伊万里市)など
〈グルメ〉カニ料理、嬉野茶、貝柱粕漬け、太閤焼き、伊万里ナシなど
〈特産品〉有田・伊万里焼、唐津焼、曳山土人形、一本歯の下駄など
天衝舞浮立
(佐賀県富士町)
佐賀県の最北部、秀峰天山のふところに抱かれた緑と清流と温泉のまち、富士町。この町には、市川・杉山・鎌原・古湯・須田の五地区に「浮立(ふりゅう)」が伝承されています。五穀豊穣を神に感謝して収穫を祝い、天下泰平を祈願する神前奉納の神事であり、民俗芸能としての価値を備えています。
なかでも市川地区の「天衝舞浮立(てんつくまいぶりゅう)」は、昭和四十年に佐賀県の重要無形民俗文化財に指定されています。起源については、一五〇〇年頃、野中伊賀守彦八が信州諏訪湖畔の諏訪神社の分霊を勧請し、市の川の清流のほとりに神社を建立して氏神とし、秋祭りに奉納した浮立が始まりといわれています。
浮立の主役は天衝舞で、天衝という冠(かぶりもの一をかぶった舞人が、神前で氏子の代表として神に拝んだり、舞を舞ったり、太鼓を打ったりして祭りを盛り上げます。浮立の出演者は旗や傘、鉾持ちの外、笛の役、鉦打、大太鼓打、もりやあし打、ぱんぱこ(姫二人一、銭太鼓、扇子舞、謡組などで、地域民総出の参加ではじまり、賑やかな鳴物とともに勇壮な棒術やユーモラスな奴踊、ニワカの出しもののあと、昔からの定めによって天衝舞の神の前、墓入りなど、独特な舞が奉納され「道行きの曲」で退場します。
奉納は毎年十月第三日曜日に大勢の参観者のなかで行われ、また「NHKふるさとまつり」や万国博覧会など民俗芸能の県代表として出演し、県外にも広く知られています。
地域環境を考えて、安全なエネルギー供給を。
玄海原子力発電所
東松浦半島の西部に立地する玄海原子力発電所は、昭和五十年に一号機稼働以来、二・三号機も稼働し、現在までクリーンで安定したエネルギー源として皆さまの暮らしを支えてまいりました。さらに、平成九年には四号機の運転開始を日指して建設中です。また、玄海原子力研究所では「自然環境」をコンセプトに、周囲の緑や海岸線などの景観を守りながら自然に調和した環境づくりに力を注いています。
「豊かで住みよい、魅力と活力のある町づくり」を目指して。私たちは、安全を第一に安定したエネルギーづくりを続けてまいります。

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